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曇天パッチ

『殴る、斬る、撃つ』 暴力エンターテイメント好きの視点

『アサシン クリード リベレーション』


アサシン クリード リベレーション シングルプレイトレーラー - YouTube

2012年のニューヨークに暮らす青年デズモンド・マイルズは世界的大企業アブスターゴに監禁されていた。DNAから祖先の記憶を吸い出す装置アニムスを用いて、デズモンドの祖先の記憶から、世界を支配できるほどの力を持つ秘宝の在処を突き止めようとしていたのだ。 
最初の舞台となるのは12世紀のエルサレム。聖地を巡って十字軍とイスラム勢力の争いが起きている時代だ。ここでの祖先はアサシン教団に所属するアルタイル。終わりの見えない争いを収束すべく活動している。アルタイルの記憶を通して語られるのは、アサシン教団と十字軍との戦いの歴史。多くの犠牲や師の裏切りを乗り越え一応の決着がつくが、この戦いは2012年になっても続いており、アルタイルの子孫はアサシン教団として活動を続け、十字軍はアブスターゴと名を変えて世界の統治を目論んでいることが判明する。 

ここまでが記念すべきシリーズ1作目のストーリー。以降年一本のペースで新作がリリースされ、この『アサシン クリード リベレーション』はシリーズ4作目にあたる。デズモンドが体験する先祖は、2~4作目では15世紀イタリアの貴族エツィオに変更。フィレンツェ、ローマ、コンスタンティノープルといった多種多様な都市を舞台に、ローマ法王レオナルド・ダ・ヴィンチといいた実在の人物を交えながら、とにかくスケールのでかい話が展開していく。 
ゲームの特徴は、美麗なグラフィックにより再現された古代都市をパルクールにより自由に走り回れること。この斬新さが世界中の中高生にバカ受け、最新作は発売一ヶ月で700万本を売り上げる大ヒットを飛ばしている(この程度の面白さは日本が誇るトップゲームメーカーSEGAが2000年にジェットセットラジオで実現している)。 
ちなみに年一本のリリースを続けるために働くスタッフの数は尋常ではなく、発売すれば販売本数は数百万本を見込めるためプロジェクトは肥大化、10分を軽く超えるスタッフロールは長さには毎回辟易とさせられる。 

これだけ金をかけた有名作だが、肝心のゲーム自体は決して面白いわけではない、ということは断言しておきたい。 
ゲームの流れはこうだ。暗殺対象が篭る要塞へ正面玄関から堂々と入場。「やーやー我こそはアサシン教団のエツィオ!」と名乗りをあげるようなテンションでバッタバッタと敵をなぎ倒し、 
忍ぶことなく標的を排除する。ボタンをタイミングよく押しているだけで、目を疑うほどの死体の山が築かれる様は、快感を通り越して気まずさが漂う。 
この原因は、プレイヤーキャラを時代を代表する殺しの天才に設定しているため、戦闘の難易度は極端に低くなっていることだろう。ゲームの進行に合わせて主人公のステータスは上昇していき、気付けば使いきれないほど装備も充実し、更にはいつでも弟子を呼び出して戦わせるようになることで、主人公の戦闘力はハイパーインフレを引き起こしてしまう。難易度のピークが序盤にきている、という海外ゲームが犯しがちなミスが、アサシンクリードほどのビッグタイトルでも見られるのは衝撃的だ。こうなってしまうと、おつかい任務で人殺しに精を出すほど、アサシンという職業が、実は魅力的なものではないと嫌でも思えてしまう。 
唯一残された楽しみは古代都市の散策だが、これも街中をパルクールで駆け回っているとオバチャンからは冷たい言葉をかけられ、兵士には睨まれ、障害者には擦り寄ってこられることになる。広大なフィールドと強靭な肉体が、かえって人間そのものの矮小さを逆説的に説いているようで、人殺しなんて止めてそのへんに建っているモスクへ礼拝に行きたくなってくるのは、自分だけではないはずだ。 

では、シリーズがここまでヒットする魅力はなんだろうか。それを『アサシン クリード リベレーション』をプレイ中に初めて理解することだできた。 
どれだけ己を鍛え上げ、歴史に関わってくる重要な事件に関わろうとも、一人の人間ができることなど高が知れている。しかし、それを引き継いでくれる者がいる。個人では何もできなくても、一つの目標に向かって時代を超えて挑み続けることで、900年後の未来ぐらいは変えられるかもしれない。 
本作のラストでは、アルタイルとエツィオ、二人のキャラクターの晩年が描かれる。次世代へとタスキを渡していく壮大な大河ドラマと、そこで描かれる人間賛歌の物語が、多くのプレイヤーを惹き付けているのではないだろうか。それは『ジョジョの奇妙の冒険』でも描かれている、血の運命だ。 

 


ジョジョ 〜その血の運命〜 - YouTube